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コンテナ船の歴史B
4 スーパーポストパナマックス型の登場
その後も大型化が進み、1996年までには積載コンテナで6,000TEU型のコンテナ船が登場してきています。この頃に、管理人がコンテナ船に航海士として乗船します。私の最初に乗船したコンテナ船は、1,800TEU程度であり、東南豪州航路に就航していました。
この頃から、デンマークのMAERSK社が台頭してくることになります。
1997年に同社は「SOVEREIGN MAERSK」を建造します。全長347m、幅42.8m、喫水14.5mで公称コンテナ積載能力は6,600TEUでした。ややこしいのですが、公称コンテナ積載能力は、船社が営業用に使用するもので、最大積載コンテナ数と一致しません。当時、他船社で、同船の最大積載コンテナ数をシミュレーションした結果は、約8,700TEU前後というものでした。
こうなると、大型化にさらに拍車がかかるようになります。
続いて2005年4月にドイツのHapag-Lloydが、アジア〜欧州航路へ「COLOMBO EXPRESS」を建造します。全長335m、全幅43m、コンテナ最大積載量は8,750TEUで、世界最大となったのもつかの間、4か月後には、スイスのMSCが「MSC PAMELA」を建造、コンテナ最大積載数は9,200TEUとなっています。
ここからは時系列に、主な大型化の動きを記載します。
2006年8月 MAERSK 「EMMA MAERSK」15,500TEU型
2012年11月 CMA-CGM「CMA CGM MARCO POLO」 16,000TEU型
2013年6月 MAERSK 「MAERSK McKINNEY MOLLER」18,270TEU型
2017年4月 MOL 「MOL TRIUMPH」 20,170TEU型
現時点では、MOLの20,000TEU型が最大となりますが、船体、機関とも技術的にはこれを上回るコンテナ船の建造も可能だということです。しかし、港湾設備などハード面の整備が追いついておらず、寄港地が極端に絞られること、また、その大型化に見合う貨物を集まめられるのかという問題もあるので、この20,000TEU型のコンテナ船で一区切りつくのではないでしょうか?
下表は、現在の世界におけるコンテナ船の就航状況と発注残を表したものです。ALFALINERという会社が、各船社の船腹量などを定期的に発表しています。注目してほしいのは、各船社が造船所に発注しているTEUを隻数で割ったものです。ザクッとした計算ですが、今後、1万TEUを超えるような大型船が続々竣工して来ることになります。
MOLのHPによると、全長400m、全幅58.8m、満載喫水16mとのことで、4月から新アライアンスでアジア〜欧州航路に就航するようです。日本人の船員も8名乗り組むということですので、元航海士としてはうれしい限りです。
次回は、2017年4月から始まるアライアンスと2016年に開通した新パナマ運河についてご紹介したいと思います。