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【2018年】世界のコンテナ貨物取扱量(1月〜6月)
2018年に入って半年が経過し、各港から1月〜6月までのコンテナ貨物取扱量が発表されました。
世界のコンテナ取扱量上位10港の今年上半期(1〜6月)実績は、前年同期比5.0%増となった。香港を除く9港が増加した。上位10港の顔ぶれは変わらなかったが、今年第1四半期(1〜3月)時点からの順位変動では、天津が5.2%増と堅調に伸び、ドバイを抜いて9位に浮上した。
各国政府や港湾当局などが公表するデータを基に本紙が作成した上位10港の実績は表のとおり。上海は昨年までで7年連続の1位となっているが、引き続きトップを独走。上半期ベースで初めて2000万TEUを突破した。2位のシンガポールは11.6%増と上位10港の中では唯一の2桁増となり、好調だった。寧波は7.5%増と引き続き増加しており、2017年通年で3位だった深?を抜いている。
韓国の釜山は4.0%増の1061万TEUで、5位となった。2年連続で1000万TEUを突破した。通年では2150万TEUを目標としている。主力とするトランシップ貨物は8.7%増の551万TEUとなり、そのうち対日トランシップは10.2%増の86万TEUと大幅に伸びている。
6位の広州は17年通年では7位だったが、一つ順位を上げた。7位の香港は、上位10港唯一のマイナスとなった。単月ベースでは2月以降、5カ月連続で減少しており、上半期ベースでは2年ぶりに1000万TEUを割り込んだ。青島は3.2%増で堅調に推移しており、8位を維持した。
天津は5.2%増の780万TEUで、ドバイを抜いて9位に浮上した。ドバイは0.2%増の774万TEUで前年並みに推移した。
11位のロッテルダムは、6.2%増の708万TEUと堅調に伸びたが、トップ10に食い込むことができなかった。同じ欧州港湾ではアントワープが8.3%増の556万TEUと増加。5月の取扱量は100万TEUを超え、単月ベースで過去最高を更新した。北米港湾ではロサンゼルスが3.8%減の431万TEUと取扱量を落とす一方で、ロングビーチは14.5%増の395万TEUと大幅な伸びを記録した。(2018年8月16日付け 日刊カーゴより)
という結果で、2018年前半は堅調に伸びているようですが、気になる動きを数点挙げておきたいと思います。
一つは、MSCの動きです。MSCはアライアンスでMeaskと2Mを組んでいますが、四日市港に寄港するコンテナ船を紹介する「MSC REBECCA」 でもお伝えしたとおり、MSCは、日本出しの欧州、北米向けの貨物は、混雑する中国諸港のトランシップ(中でも中国寧波港)を止めて、シンガポール、マレーシアに移しました。MSCだけに限らず、他船社も追従する動きもあると思われますので、こうした影響は、後半に出るものと思われます。
二つ目は、こちらがメインとなりますが、米中の貿易摩擦による影響です。2018年7月6日に米国は同国通商法301条に基づいて、年500億ドル規模の中国発輸入貨物約1300品目のうち、まず340億ドル分に25%の追加関税を課しました。中国も対抗して追加関税をかけ、それぞれ歩み寄る気配もなく泥沼化している状況です。
米国にとって大きく影響を受けるのは半導体産業としており、中国側のまとめた報告書によれば、米国による500億ドル規模の追加関税では、計約300万TEU(うち、実入りコンテナは150万〜160万TEU)海上コンテナ荷動きに影響を与えるようです。
中国・米国レーンの海上コンテナ荷動きは、2017年はに約2500万TEU、中国全土の外貿コンテナ取扱量の22%であったので、仮に「300万TEU」が減少すると、米中間の海上荷動きの1割以上が消滅する計算となります。
また、同報告書では中国沿海部の大型港湾への影響にも触れています。「300万TEU」の内訳は、深?96万TEU、上海72万TEU、寧波・舟山、厦門各26万TEU超、青島17万TEU超、その他60万TEU超。この5港だけで計237万TEU超となっています。
この報告書が信頼に値するか疑問が残るところですが、今後、この問題が解決されない場合には、こうしたシナリオがあり得ることは認識しておいた方が良さそうかも知れません。
このほか、四日市港を含む国内港湾もランキングは出来てきませんが、堅調に伸びているようなので、今後国内のコンテナ貨物取扱量に触れたいと思います。
参考までに、2018年1月〜3月までの状況を取り上げた記事です。
2016年、2017年の世界のコンテナ貨物取扱量です。