コンテナ船 物流 海運 港湾 MOL KLINE NYK EVERGREEN WANHAI

国際物流事業者要覧(2017年版)

価格:3,024円
(2017/12/14 06:03時点)
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【2017年】大型コンテナ船就航状況まとめ@

ONE MINATO ONE STORK

(PENMI様提供)

 

 オランダの海運コンサルタントDynamarが毎週公表しているDynaLinersによると、2018年1月1日現在の10,000TEU型以上の大型コンテナ船は451隻、さらに2020年までには、さらに129隻の追加となるようです。一般的に、10,000TEU型を超えるコンテナ船を「Ultra Large Container Ship(ULCS)」と表します。大型コンテナ船の竣工状況や計画については、これまで各社個別をメインに紹介してきましたが、少しまとめてご紹介します。

 

各船社別10,000TEU型コンテナ船のコンテナ船隊

船社

現有(隻)

発注(隻)

合計(隻)

平均船型(TEU)

合計船腹量(TEU)

CMA-CGM

74

19

93

13,700

1,270,000

COSCO

67

29

96

14,900

1,427,000

EVERGREEN

20

11

31

16,200

501,000

Hapag-Lloyd

45

0

45

13,700

618,000

HMM

17

2

19

11,800

224,000

IRISL

0

4

4

14,500

58,000

Maersk

86

11

97

14,800

1,434,000

MSC

90

20

110

15,400

1,689,000

ONE

29

13

42

13,800

580,000

PIL

3

9

12

13,900

143,000

Yang Ming

16

5

21

13,900

292,000

ZIM

4

0

4

10,300

41,000

NOO

0

6

6

13,700

82,000

*アルファベット順、NOOは「Non Operating Owners」

 

 次のページでは、運航順位で比較してみたいと思います。

 


【2017年】大型コンテナ船就航状況まとめA

Maersk

 

 先ほどの集計表から、10,000TEU超えのULCSを運航順位に並べると、次のようになります。7位以降については省略しました。

順位

船社

コメント

1

MSC ULCS型最大となる23,350TEU型発注済

2

Maersk ULCSの先駆け。買収したHamburg-Sud(独)から運航船11隻継承

3

COSCO 運航船23隻、発注船27隻は合併したChina Shipping分

4

CMA-CGM 買収したAPL(星)から22隻継承、LNGを燃料とする22,850TEU型9隻発注済

5

Hapag-Lloyd 事業統合したUASC(アラブ湾岸6か国)から22隻継承

6

ONE NYK、MOL、KLINEの統合会社で、20,000TEU型はMOLが運航

7

EVERGREEN 1月に11,000TEU型20隻新造決定。2020年〜21年竣工予定

 

 となっています。今回の集計表では、EVERGREENの発注分は今回の集計表には反映されていません。続いて、ULCSの中からさらに船型別で比較してみます。

 

 


【2017年】大型コンテナ船就航状況まとめB

COSCO

 

 さらに、もっと詳しく大型コンテナ船を船型別に見てみます。

 

 分類については、

 

 @「SNP」(Sub New Panamax:オンデッキ17〜18列)
 A「NP」(New Panamax:オンデッキ19列)
 B「NPP」(New Post Panamax:パナマ運河通峡不可でオンデッキ20〜21列船)、
 C「18+」(オンデッキ23列)、
 D「22+」(オンデッキ24列)の5つとなっています。

 

 この分類のうち、最初の「SNP」と「NP」は現在の新しいパナマ運河が通峡できるので、現時点では最も汎用性があるタイプとなります。「オンデッキ○○列」とは、船上で、最大どれだけ横方向に並べられるかを表すもので、その数にコンテナ自体の横幅(約2.4m)を乗じれば、コンテナ船の幅も判る便利な数字です。旧パナマ運河ではオンデッキ13列(船幅32.3m)のコンテナ船が通峡できる最大のサイズでしたが、現在のパナマ運河では閘門が拡張され、オンデッキ19列(船幅49.0m)まで通峡可能となりました。

 

 話が少し逸れますが、港のコンテナターミナルに設置されているガントリークレーンの一般的な大きさを表す際にも、「このガントリークレーンは18列対応」などと言われます。荷役を行う際、そのガントリークレーンによってどれだけ海側のコンテナを扱えるかが大事になってくるので、こうした表現をしています。ですから、「このガントリークレーンは○○列対応」と言った場合は、そのクレーンで岸壁側から○○列目にあるコンテナも扱えますよという意味になります。四日市港では全部で6基のガントリクレーンがありますが、13列対応が2基、16列対応が1基、残る3基が17列対応となっていますので、逆言うと、18列以上あるコンテナ船が四日市港に入港しても最も海側の列にあるコンテナは揚積みが出来ません

 

船社

SNP

NP

NPP

18+

20+

既存

発注

合計

CMA-CGM

28

28

25

3

9

74

19

93

COSCO

9

39

20

28

67

29

96

EVERGREEN

20

11

20

11

31

Hapag-Lloyd

28

11

6

45

45

HMM

18

17

2

19

IRISL

4

4

4

Maersk

13

36

17

31

86

11

97

MSC

4

43

32

20

11

90

20

110

ONE

11

25

6

29

13

42

PIL

12

3

9

12

Yang Ming

1

20

16

5

21

ZIM

3

1

4

4

NOO

2

4

6

6

 

 

 なお、主に原油を運ぶ船を原油タンカーと言いますが、このタイプも大型化の歴史があります。一回で運ぶ量が多ければそれだけコストが削減できるため各社こぞって大型化に取り組みました。その結果、世界最大のタンカーは1979年に住友重機械工業追浜造船所で建造された「SEAWISE GIANT」で、載貨重量トン(DWT)564,763 トンの容量があり、全長は458.45 m、喫水は24.611mありました。

 

 また、現在の最大船はTIシリーズの「TI ASIA」、「TI EUROPE」、「TI OCEANIA」、「TI AFRICA」の4隻で、載貨重量トン(DWT)にして441,500トン、全長は380.0 mとなっています。ただ、こうした大型化によって、入港できる港湾や海峡など狭い場所を航行できないなどの問題があり、最近では、その大型化が一段落し、原油タンカーの主力は、こうしたクラスに分類される載荷重量トン(DWT)32万〜55万トンの「Ultra Large Crude oil Carrier」(ULCC)より1クラス下の「Very Large Crude oil Carrier」(VLCC)で載貨重量トン(DWT)16万トン〜32万トンとなっています。日夜、日本に原油を運んでいるタンカーもほとんどVLCCとなっています。

 

 このように大型化に進む過程では、各社が競いながら船型が大きくなっていきますが、最終的には、最大船型よりも一つ下のクラスで落ち着くといった歴史がありました。コンテナ船についても、その最大となる船型が20,000TEUなのかどうか、今後も注意深く見守っていきたいと思います。。

 


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